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#03 「正しさ」だけでは伝わらない?
強いブランドを作る「中心点」

( podcast )

2026.03.13

クライアントワークをしている中でよく耳にするのが、「SNSや広告、PRなど色々な施策をやっているのに、ブランドが強くなっている実感がない」というお悩みです。

様々な施策が溢れ、分かりやすい数値やKPIばかりを追うあまり、施策そのものが目的化してしまっているケースは少なくありません。

今回は、なぜそうした状況に陥ってしまうのか、そして企業の「正しい」発信がなぜユーザーに伝わらないのかについて深掘りしました。

ガチガチに固められた「正しさ」から抜け出し、変化や失敗という「ゆらぎ」の中で立ち返るための「中心点(アンカー)」の重要性について、今回もFLYDAYZの2人がゆるりと語り合いました。


施策が目的化する罠と「強いブランド」の定義

高橋:第3回目の今回は、「正しいことを言っているのになぜ伝わらないのか」というテーマについて話していきたいと思います。最近はSNSや広告、AIの検索対策など、企業がやるべきことがどんどん増えていますよね。でも、色々なことをやっているのに手応えがない、ブランドが強くなっている実感がないという声をよく聞きます。

大林:そうですね。そもそも「強いブランド」とは何かという話ですが、売上や認知といった指標だけでなく、社内の判断軸がちゃんと揃っていて、社内外に同じ説明ができ、なおかつそれが持続可能な状態になっていることが、強いブランドなのかなと思います。

高橋:なるほど。でも現実は、いろんな施策が点で終わってしまっていて、施策そのものが目的になってしまっていることが多いですよね。評価軸がKPIといった分かりやすい数値しかなく、アンカーとなるポイントが定まっていないから、強くなっているかどうかが分からない。

大林:ええ。例えばWeb解析でも、ただユーザー数が増えた・減ったという分かりやすい数字を取るだけで、それが結局何に繋がっているのか定義されていないことが多いです。ページの滞在率が低いと「悪い」と判断されがちですが、もしかしたら導線がすっきりしていて、ユーザーが速攻でニーズを満たして離脱しているだけかもしれない。

高橋:確かに。一般的な「この数値が低いと良くない」という判断軸に踊らされるのではなく、自分たちの世界観の中では「この指標が上がれば体現できている状態だ」といった独自の判断軸を持てるかどうかがポイントになりそうですね。


「正しさ」だけでは人の心は動かない

高橋:施策の目的化に関連して、採用サイトやCSRページの話題もありましたね。

大林:例えば、誰かに見てほしいとCSRページを作ったとして、「逆にあなたは他の会社のCSRページを見ますか?」という話なんです。普通の生活のルーティンの中に、企業のCSRページを見に行くシーンってなかなか無いですよね。採用ページでも、いきなり「〇〇せよ」みたいな少し上から目線の強いコピーが使われていることがあります。

高橋:関係性の土台も構築されていないのに、いきなりそういう言葉をぶつけられても、「何このコピー? ざわっとするな」と機会損失になりかねません。

大林:SDGsの取り組み発信などもそうですが、基本的には社会貢献などの「正しいこと」を言っています。でも、「上場している」という事実や、「このテクノロジーは課題を解消する」というロジックとして正しいことばかりをバーっと浴びせられても、受け手からすると「知らない人からいきなり自分語りをされている感覚」になってしまうんです。

高橋:正しいことを言っているのに刺さらないというのは、そういうことなんですね。

大林:「正しいことをやっている」という土俵から降りない限り、その会社の「らしさ」みたいなものは浮き上がってきません。一度「正しさ」という前提を外して、ピュアな心で「自分たちはどうしたいのか」を描いていくことが大事だと思います。


ゆらぎの中で立ち返る「中心点」を持つ

高橋:とはいえ、ブランディングをしっかり固めていくことも必要ですよね。

大林:ブランディングという言葉に囚われて、「こういう時はこうする」「こういうことはしない」とガチガチに固めすぎると、自分たちが絶対正しいというある種の全体主義に向かっていってしまいます。意図してない流行り方をすることもあれば、失敗することもある。そういう「ゆらぎ」の中で、迷った時に一旦戻ってこれる「アンカー(中心点)」を持つことが必要です。

高橋:バイキングみたいに左右にスイングしすぎても、途中で戻ってこれる場所ですね。

大林:そうです。そして、その中心点をずっと意識しながら、外部からのフィードバックを受けて言葉や表現を洗練させていく「翻訳作業」をし続けることが大切です。

高橋:自分たちはこういう世界を目指したいという意思を持ちながらも、正解を主張しすぎず、顧客や社会環境との関係性の中で一緒にブランドを作り上げていくんですね。

大林:固まった瞬間に動きがなくなってしまうので、強いブランドというのはある種、不安定なものだと思います。そういう不安定な状態の中で変化し続ける企業に、私たちも一緒についていきたいですね。


まとめ

  1. 施策の「目的化」に注意する 分かりやすいKPIや一般的な数値の良し悪しに踊らされず、その施策が自分たちの目指す状態にどう繋がっているのか、文脈を定義することが重要。
  2. 「正しさ」の押し付けから脱却する 事実やロジックとして正しいことでも、関係性がないまま一方的に発信すると「自分語り」になり伝わらない。「正しさ」の土俵から降り、ピュアに自社のあり方を描く。
  3. ゆらぎながらも戻れる「中心点」を持つ ブランドをルールでガチガチに固めるのではなく、変化や失敗(ゆらぎ)を許容する。迷った時に立ち返る「アンカー(中心点)」を持ち、社会や顧客と共にブランドを育てていく。