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#04 AIが生み出す「均質化」の罠とは?
マーケティング時代に問われる「人間の声」とブランドの熱量

( podcast )

2026.03.28

AIを使った広告やクリエイティブが急増する昨今。情報が洗練され、効率的にターゲットへ届けられるようになった一方で、どの企業もAIで「最適解」を導き出せる時代において、発信するメッセージが「つるっと」均質化していく懸念も生まれています。

今回は、「AIマーケティングの時代に、人の声はどこへ行くのか」をテーマに、AIが生み出す均質化の罠と、効率重視で削ぎ落とされがちな「人間のエゴや熱量」の重要性について深掘りしました。

属性で括る「パーソナライズ」への違和感から、AIを「出口戦略」として活用するための正しい距離感まで、今回もFLYDAYZの2人が語り合いました。


AIが導き出す「最適解」が生む、クリエイティブの均質化

高橋:第4回目の今回は、「AIとマーケティング、人の声はどこに行ってしまうのか」というテーマです。最近、AIを使った広告やクリエイティブが本当に増えましたよね。

大林:増えましたね。

高橋:ただ、作り手のエゴやノイズが少なくて、伝えたい情報だけが綺麗にまとまっている点では、個人的には話が早くて好きなんです。変に忖度したり遠回りせずに、直球で来てくれた方が受け取りやすいという側面はありますね。

大林:確かに、人間特有の「コミュニケーションの壁」がなく、要件だけを伝えてくれる良さはありますね。でも、例えば化粧品業界で、100社が100社ともAIを使って「直球の最適解」を出してきたらどうなるでしょう?,

高橋:みんな同じように直球で出してきたら、表現がだだ被りして「均質化」していくリスクがあると思っています。

大林:プロンプトに「自社はこういうことを大切にしていて、こういうストーリーがある」としっかり入れ込めばアウトプットは変わるはずですが、そもそもそこが定義できていない会社やブランドが多いのも事実ですよね。


削ぎ落とされた「エゴ」と「泥臭さ」にこそ価値がある

大林:責任者がAIのアウトプットをチェックする際、コンプライアンス的に問題のない、角が削られた「つるっとした」綺麗な言葉に均らされてしまうことが多いです。でも、本来は「開発に3年かかって、何度も諦めかけたけど、マジでいいものができたから1回買ってみてよ!」みたいな、泥臭い人間のエゴや感情の動きがあった方が、結果的に消費者の心に刺さったりするじゃないですか。

高橋:そうですね。「どれどれ」と心が動かされるのは、そうした見えない感情の繋がりがあるからですよね。そこが削ぎ落とされてAIによる綺麗な言葉だけになると、結局は単なる価格競争に陥ってしまいます。

大林:今はみんな「AIだ!」とお祭りムードで飛びついていますが、本来はAIを使う前に、「なんでこのブランドが存在しているのか」という思いの起点を泥臭く定義するのが入り口です。そこをすっ飛ばして効率化ばかりに目を向けると、結局は手段がAIに変わっただけの差別化競争になってしまいます,。

高橋:まず人の声や企業の価値観が前提にあった上で、どうAIを使うかという設計が必要なんですね。


「パーソナライズ」への違和感と、逆張りしたくなる心理

大林:あと、世の中の「パーソナライズ」という言葉にも少し違和感があるんです。年齢や住んでいる場所、職業といった固定化された属性で「あなたはこういう人でしょ」とカテゴライズされることに、消費者は嫌悪感を抱き始めているんじゃないかと,。

高橋:確かに、コントロールされているのを感じると、「そうは行かせねえぞ」と反骨心が芽生えて逆張りしたくなることはありますね。

大林:パーソナライズと「パーソナル」は違うと思うんです。パーソナルというのはもっと流動的で、その人が日々見ている景色や偶発的な出会いによって変化するもの。心から「これいいな」と動かされるのは、属性で括られた時ではなく、本当にパーソナルな状態の時のはずです。

高橋:面白いですね。また、AIと密にコミュニケーションを取ることで、人間側がAIの「AI構文」のような口調に寄っていってしまったりする現象も起きていますよね,。AIが主で、人間が従になってしまっているというか。

大林:プロジェクトを進める際も同じで、独自性を出すために人間が企画して進めていたのに、途中でAIを入れた途端に平均化されて、元々の目的を見失ってしまうことがあります,。揺れやブレがあっても、感情的な人間の視点をベースに置かないと、本当に伝えたいことは届きません。

高橋:あくまで、自分たちが大事にしたいものを定義した上でAIを使うべきだということですね。


まとめ

  1. AIによる「均質化」のリスクに気づく
    AIで「最適解」を求めると表現が似通ってしまい、結果的に価格競争に陥る。プロンプトに独自のストーリーや強みを定義して入れられるかが鍵となる。
  2. 「つるっとした」表現より、人間の「泥臭さ」を残す
    角を削った無難な言葉よりも、開発の苦労や熱量といった「人間のエゴや感情の動き」こそが、消費者の心を動かすフックになる。
  3. 属性で縛る「パーソナライズ」から脱却する
    顧客を固定化された属性でカテゴライズしてコントロールしようとすると反発を生む。常に変動する「パーソナル」な感情を大切にし、AIは思いの起点を定義した上での「出口戦略」として活用する。